2010年12月13日

「潮音」2010年6 月号掲載分

 

 # 納骨をすませて

 

      IMG_0144.jpg  
              
              
              
横浜市の公苑墓地メモリアルグリーンが抽選で当たつた。
              丁度一周忌に合せて納骨をした。
                   お骨となつてしまつたけど、墓を後にして帰るときは涙が出た。
 

  帰宅して硝子戸にさす日差しを見てゐたら、
  小さな羽虫がちょこまかと動いてゐた。
  こんな小さな虫でも生命があって動けるのは素晴らしいなと、
  時間のたつのを忘れて眺めてゐた…
 

 陽に透ける玻璃戸の内を小さき蟲敏く動けり春きざす朝

 骨壺を降ろせば冷気掌に触れぬ永遠
(とは)にをぐらき部屋の寂しさ

 この暗い室
(へや)にぽつんと残るのか 蓋を閉めずに陽を入れようか

 また來るよそしていつか寄り添つて腕組んで行こ旅の日のやうに

 石の下にきみを残して帰る夕忘れ物したやうな思ひで


 
 
以下は掲載から漏れた作品です。少しごちゃごちゃし過ぎ・・・やはり詩情いまいちだな。


 光の粉撒かれし空の眩しさかはた杉花粉かや涙目を閉づ

 枯れ芝を風吹き抜くる廣き墓地薔薇も芽吹かず鳥も遊ばず

 
 
やっと6月号まできた。もうひと頑張りしやう

posted by 素浪人Joe at 16:49| Comment(0) | TrackBack(0) | 日々に詠ふ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年12月12日

「潮音」2010年5月号掲載分




  # 花ある径



       またもやかなしい歌が並ぶ。

       年長の歌友は言つてくれる。
       「まうそろそろ妻恋歌から離れたほうがいいですよ」と。

       でも、さうは行かない。
       自然に歌となつて口をついて出てくるものは仕方がない。
       感傷過剰といへば、それはさうなんだらうが……


 酒たうべ浴ぶるごとたうべ汝が亡きを忘れむとして蒲団被れり
 
 こは夢
(いめ)と思ひて見てをり異国(とつくに)の花ある径をきみ歩み来る
 
 目覚めては泪ぬぐひぬ風の音がうがうと鳴る春の夜明けに
 
 よき夢の続きは見得ず豚となりて餌を食む夢の覚めず続けり
 
 為すべきこと多き日なれど臥所にてパソコンゲーム今朝もしてをり


以下は掲載されなかった作品
 

 あかときの窓よりもるる薄光
(はくくわう)を諸手(もろて)に受けてこすりてみたり
 
 生ぬるき東風
(こち)吹き荒れてわが庭の白木蓮(はくれん)すでに傷つきて落つ

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「潮音」2010年4月号掲載分

       
  
  #楽の音あふる

   
    
      P1030152a.jpg




音楽を詠むのはちょっと難しい気がする。
読者に分からせようと説明的になつたりすると、
うたごころを失つてしまふ。
塚本邦雄なんかいつぱい音楽の歌を詠んでゐるが、
さすがにうまいものだなあと感心する。
お手本にしたいけど、立脚点が違うので参考にならない。


  白梅の満ち薫るごと小堂に楽の音あふる胸熱き午後を

  大人らの中に幼なも混じりゐて弓いっぱいに奏づるバッハ

  晴れやかにモーツアルトのパッセージ小さきホールを駆け戲れる

  チェロ二つ掛け合ひ鳴りて短調
(ミノーレ)のつづれ錦のごときバロック

  街灯のあたたかき黄にひたり行く何時まで続くこの残響は
      
(けやきホ−ルにて)

  
 以下二首は採り上げられなかったもの。 やはり説明的だったのかな、と思ふ。

 
 3
台のヴィオロンが紡ぐコンチェルトわが歌友(うたとも)の美音も冴えて

 会場を出づれど耳に残れるは厚き総奏
(トゥッティ)ブリテンの曲




 
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2010年12月10日

「潮音」2010年3月掲載分



  #羽ばたかぬ鶴


 社会詠は苦手だけれど、勉強のために詠んでみる。
 どうも力みが先に来て難しい。でも詠まなければいつまでも上達しないので、詠む。


 約束を瓶に封じて投げあげて果たしてJALは飛ぶや飛ばずや

 チキンラーメン発売されしその頃は世界に羽ばたく鶴でありしに

 お仕着せの倒産なるは腹立たし我らの税も翼にあるに

 落つる陽は荒れし大地を焼き尽くしなほ燃えてをり死ぬな地球よ

 「デフレスパイラル」発音しにくき言葉なり舌噛み死ねとや貧乏人は


posted by 素浪人Joe at 14:36| Comment(0) | TrackBack(0) | 日々に詠ふ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

「潮音」2010年2月掲載分


 
 
  #安保反対闘争の頃


随分昔のことだけど、安保反対の活動をしてゐる友人が多くゐた。
そんな彼らに同情は持ちつつも、当時銀行員だつたボクは複雑な心境にあつた。
遠くから彼らを見守つてはゐたが、闘争の輪に加はることは憚られた。

そんな友人も身過ぎ世過ぎの世の流れの中で、次々と転向して行つた。
今では彼らとも昔話をしながら酒を飲んだりしてゐる。

でも、これからの日本はどうなるのだらうか?

 
 自らを金融資本の番犬と蔑
(なみ)して過ぎし日日長かりき
 
 「アメリカは帰れ」と叫ぶ激しさの声に合はざり鈍き歩みは
 
 シュプレヒコール夜空に消えぬ 流星の燃え尽くるがに友転向す
 
 われもまた楽
(らく)へ向かひぬ平和ぼけと指ささるも聞かぬふりして
 
 安保とは はて何びとのためならむ民の知らざる約ありしとふ



 次の2首は潮音誌に取り上げられなかったもの。

 
 
戦ふをあきらめて乙女の掌(て)のぬくみ確かめゐたり冷えしこころに
 
 苦しみの友に背を向けひたぶるに甘き時へと逃げてゐたりき


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2010年11月20日

「潮音」新春20首詠2010年新年号掲載

    
  
  # 病みまさる妹
(いも) 
 
   
   
      IMG_0020.jpg    早いもので妻が亡くなってからもう1年8ヶ月になる、
                             今年新年の「潮音」20首詠には病中だった妻の事で出詠した。
                             新春にはふさわしからぬテーマではあつたが、昨年に続き準入選となつた。
                             選者の先生方に感謝・・               


 
 死の病言葉選びて告知せる医師の瞳もうるみてゐたり ※

 「ありがたうございました」と礼を言ふ癌告げられし妻の健気さ

 紅き花購ひてきて荒れ庭の真中に置けばそこだけが春

 咲き初むる梅の小枝を切り挿せばかすかな望み病室
(へや)にただよふ


 この身体ふはふは紙になつたよと妹目を閉じて呟いてゐる


 今日こそは髪を洗ふと云ひはりて立たむとすれど崩れたふれぬ ※


 ししむらの日ごと落ちゆく妹が背を洗へば小さきほくろ見つけぬ


 太太と浮腫みし脚をさすりやるかつては大根と笑ひしものを


 口にせる物おさまらず吐きもどすあれほど好きな寿司でありしに ※


 ひとくちの梅おにぎりを「おいひい…」と食みて眠れり童女の如く


 食細る妹の生命の長かれと身に落ちてゆくしろがねの玉


 ひと日ひと日声細りゆく妹に告ぐ汝(な)の誕生日十日のちぞと


 いのちとは何ぞと幾度も反芻し反芻しつつ朝をむかへぬ


 病みまさる妹の寝顔を見つめゐる過去へとたどる無量の時間


 病室の窓より見ゆる夕富士も影濃くなりぬ 暮れるな今日は ※


 あかあかと病室の窓ふち取りて落つる陽を見る妹は黙して ※


 落つる陽は明くればまたも昇り来む汝(なれ)が命も新たに来たれ


 いのち終ふる日のせまりくる病室に花見の旅のチラシ舞ひ込む ※


 おとろへて虚ろに見ゆる妹の目に花待ち月とはむごき月の名


 早く咲け今年の桜早く咲け 花待ち月を待ちてゐられず


  
 長らくサボつてゐるうちにもうあとひと月で今年も終る。
   今年発表の歌は今年中に載せとかないと・・と焦る。
   どうかご批判ください。

   残念ながら今年も準入選に留まつた。、
   ※の歌は選ばれなかったものだが、
   やはり選ばれないものでも愛着があり捨てられない。
   原稿通り記載しておく。

posted by 素浪人Joe at 02:56| Comment(1) | TrackBack(0) | 日々に詠ふ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年09月12日

「潮音」09年12月掲載分


    
  
      # 花野わけ行く            DSCN0290.JPG
                                       
 
 どつぷりと薄墨含む綿雲がつり下げられて目の前にある
 
 砂白き広河原面(も)に横たはるいのち失せたる大き流木
 
 山霧は峡谷(かひ)駈け降り渦巻けり大天龍に雨晴れむとす
 
 見ゆること現といふも夢ならむ夢の中なる花野わけ行く
 
 陽のしづく落ちてひろごる薄桃のヴェールの下の野を歩み行く



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2010年09月10日

「潮音」09年11月掲載分

 
       # 秋の宴
                                   DSCF6005.JPG
 
 待てど待てど待つひとは来じ来ぬものを待てば秋空ぽかんと晴れる


 元気かと友らは聞けり曖昧に笑みを浮べてうなづきてゐる


 いざいざと差されし酒はすべて受け酔ひて霞みて時は消えゆく


 宴
(うたげ)果て風に吹かれて帰る夜は襟掻き合せうつむき歩む


 冷たさを肌に覚えて目覚むればあかとき刻む秒針の音



 一年サボったら、季節が合つてきました (笑)
 これからお酒の美味い季になりますよね。
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2010年09月09日

「潮音」09年10月掲載


                 d0069838_1044890.jpg

  # 目刺しを食ふ


目を刺され晒し者なる干魚の身をあはれめば食ふに食はれず

繋がれて食はれる順を待ちてゐる土佐の目刺を頭から食ふ

(わた)苦き鰯食みつつ紀の国の秋刀魚詠ひし詩人を思ふ

頭から食めば目刺のほろ苦き腸の味はひ酒とよく合ふ

ほろ酔へばあはれみなどは吹つ飛んで旨し旨しと二ひき目を喰ふ

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2010年09月07日

「潮音」09年9月掲載

      P1050288.JPG
   
  # フェニクスの卵

フェニックスの卵孵れと願ひつつ寝
(ぬ)る夜短しあかときの冷え


あぢさゐの碧の深さよ霧雨に濡れてひと恋ふ朝のためらひ


谷戸ゆけば小さき棚田の尽きるころ鬼百合ひとつ通せんぼする


斑猫に道案内をされて行く相武境の尾根の細道


阿仏尼の小さき九輪の墓ありてをぐらき洞にせまる夕闇

  
 
一年以上更新してなかつたので、以前読んでくださつた方には、大変失礼をしました。
  大分がんばつて掲載しなければなりませんね。 よろしくお願ひします。



posted by 素浪人Joe at 02:43| Comment(0) | TrackBack(0) | 日々に詠ふ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年09月06日

10ヶ月振りに復活します

ながらくご無沙汰しました。
アクセスを見ますと、更新もしないのに毎日40人前後の方の訪問があり、恐縮してをります。

 挨拶代わりの一首です。

  ・新しき恋などをまたして見むか破調のわれのひと日始まる

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2009年11月24日

「潮音」09年8月掲載(その2)


suifuyo.jpg
 

    8月号に載つた後半の5首。



   # 詠み続けよと…


 たまきはる命消えゆくあかときを新聞配達の音聞こえ来る
 

 意識薄れよ深き眠りの来たれかし現
(うつつ)には思ふ人の亡(な)ければ


 妻亡せし孤りの老を励まされ詠み続けよと師は微笑みぬ

 
 妻の匂ひはつかに残るスェーターを着むとすれども丈が合はざり


 これの世に妻の名前は消えたれどダイレクトメール今日も届けり



posted by 素浪人Joe at 02:09| Comment(0) | TrackBack(0) | 日々に詠ふ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年11月23日

「潮音」09年8月掲載(その1)

               
               St.Moriitz.JPGSt.Moritzのテラスにて


 結社誌に長い間欠詠を続けてゐたので、先月(7月)に引き続き8月も2ヶ月分載せることを許された。
 
 8月号の前半が次の5首である。



  # 写し絵に…


 ひとり居も二十日を経たり写し絵に「ただいま」などと挨拶をして
 

 「おそいわね」空耳に声聞こえくる灯点せば妹の写真笑みをり

 
 骨壷に入りて吾妹はすましゐる さほどに壷は住みよきものか
 

 居る筈もなけれど亡妻
(つま)の瞳(め)を欲りてスーパーストアの売場さまよふ
 
 
 千の風にならずともよしひと吹きの桜ふぶきとなりて我に来
(こ)


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「潮音」09年7月号掲載分



引き続き結社誌に記載された作品をUPします。
遅れ遅れの7月号です。 まだまだ、亡妻のことばかりでした

           watch.JPG
 
 
 #スガン氏の山羊


 秒針の右に周りて戻らぬを納得しつつ凝視
(みつ)むれば正午(ひる)
 

 弔ひの手順のことも言ひ残しまたひと足の段梯
(きだはし)降る
 

 来年は金婚式ぞと念押して約せしことを汝は忘れしや
 

 誕生日過ぎて死なむと予言せる妻の強さに返す言なし


 「おひっこがひたい…」と訴へ伸ぶる手を握れども眼は宙にさ迷ふ
 

 「おひっこ…」と呟く声も弱りゆくおろおろと掌
(て)をとるほかはなし
 

 あかときの淡く明るむ光見ずかぼそき呼吸
(いき)は止まらむとする
 

 脈とぎれ打ちては途切れひと夜さをスガンの山羊のごと闘ひぬ
 

 くちびるに冷たさのみが伝はりぬエンゼルメイクの頬に触るれば


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2009年11月17日

「潮音」新春20首詠2009年新年号掲載


             niyodogawa.JPG   土讃線仁淀川鉄橋より仁淀川橋をのぞむ

 年が明けないうちにUPして置かう。

 今年の「潮音」新年号に出した20首詠だ。
 準入選に14首選んでいただいた。


 ★南国望郷

久しくも見ざるものかな土佐の海の沖黯々(くろぐろ)と流るる潮(うしお)


おほうみの耀き眩し瞬きを三度四度五度六度わがせり ※


われを迎ふそのさり気なき表情もうれしきかなや おほきわだつみ


『建依別(たけよりわけ) 』汝は剛毅なる国にして前なる池に鯨飼ふとや


胸張りて龍馬が歩みゆくごとし土佐灘めざす仁淀大河は


帰るべき家すでに失せ無けれども白き仁淀の橋は吾を待つ


少年の日々過したるわが家は跡形もなしコンビニ建てり ※


黴臭き蔵の二階の薄明に啄木読みし遠き憶ひ出 ※


(たふさぎ)の白きを締めて魚を獲る少年の胸まだ薄かりき


ふるさとの川の深みにひそみ住むうなぎの肌のぬめる冷たさ


紅簾石(こうれんせき)ただあかあかと川底にあれば密かに燃えしむるべし


淵に潜る龍の子なりと自負すれど陽焼けし肌は鮴(ごり)の子に似る


藤村の詩に始まりし少年のうれひ並みゐる図書館の書架


ひと夏をヘッセにひたり過したる図書館に今もあぶらぜみ鳴く


わが顔を塗り潰したる一葉の写真出できぬセピアに褪せて ※


六十年の昔をきみは憶ゆるやはた忘るるやいづれともよし ※


胸ぬちにひそみて紅き埋火が未だ消えぬよと友に告ぐる日 ※


切々とカンツォーネ歌ふ老友の遠き記憶に響む潮鳴り ※


いごつその土佐つぽなりし父の夢何なりしやと思ふこの頃


往にし日々かくも眩しきものならば往復切符購(か)へばよかりし


   新年号を病床のカミサンに見せたら「良かったね!」と一言つてくれた。嬉しかった…
  

 ※の作品は選ばれなかったもの。
 でも、そのなかにも作者としては愛着のあるものがあるので、全部載せる。
 
 一言でも感想を述べて下されば嬉しいです。

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2008年11月24日

『潮音』08年11月掲載歌

    #もの狂ひびとの街

落つる陽に向ひて歩む人らみな金の縁取りつけて影引く

ゐさらひを見せて胸張り街歩むをのこありけり眼は光ゐし

年毎に見かけ綺麗になりし街もの狂ひ歩む人も失せにき

身ぎれいになりゆく街のさびしさはたとへば虫も食はざる造花

今日ひと日なづきに鳴れるコラールよまた寄せ返し来たるかなしみ

裸で歩くもの狂ひびとを子供の頃には時々みた。
見かけの世の中が小綺麗になつた現在では、
そんな人は見たくても見られない。

今にして思ふと、十字架に架けられたキリストが、
そのまま歩き出したやうな姿であつた。

子供の頃はそんな人が怖かつたものだが、
いまでは尊敬と憧憬の念でその姿を思ひだす。

 以下はボツになつた作だが、これはあまりにもママといふ気がする。
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ラベル:潮音
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2008年11月11日

『潮音』08年10月号掲載歌

             
    # 曼珠沙華        曼珠沙華


 天高き秋いま来むと人いへどわが上に停まる秋雨前線
              
 秋さればゆする人なき鞦韆
(しうせん)は縊死体のごと影を落としぬ

 しんしんとただしんしんとひろがりて曼珠沙華赫し黙し歩めば

 この世にはあらぬさまにてとび散らふ朝靄のなかひがんばなばな

 わが胸を断ち割れば飛ぶ血潮かと思ひてちぎりぬ曼珠沙華三つ


 ここ2ヶ月以上、ボクはあまり元気が出ない。
 その上、カミサンも不整脈がひどく、寝たり起きたりなのである。
 
 お互い高齢のことでもあるし、不安がつのる。
 歌にもそれが現れるので、鬱陶しい限りだが、そうも嘆いてばかりもゐられない。
 
 日々の買物やキッチン仕事も引き受けて、結構忙しい・・・・

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ラベル:曼珠沙華 潮音
posted by 素浪人Joe at 03:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 日々に詠ふ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年10月31日

『潮音』08年9月号掲載歌

                       
                        P1090384.JPG

       #ベースボール

 母が縫ひし布のグラブを思い出づ夏の河原の三角野球

 梅雨明けのコバルトの空にこだまして大太鼓鳴る予選球場

 ひとりゐてグラブに球を叩きつく補欠選手の背にも夏来る

 チアリーダー額の汗は飛び散りて声張り上ぐる七回の裏

 打ち損ね球は前には飛ばざれどわが魂碧き遠方に消


 
 野球で夏といへば・・・
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ラベル:潮音
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2008年10月29日

5〜7月歌会の詠草


              yuugure.jpg
 

 胸ぬちに赫き夕陽を閉ぢこめてゆふやけぐもは思ひ告げ得ず
                                   
(藤の実5月)
 
 
ぬかづけばステンドグラスほの明かくこころたひらな雨の夜のミサ
                                   
 (湘南5月)
 
 忍冬の蕊のゆらぎのかそけさを愛
(かな)しと思(も)ひて歩みとどめぬ
                                   
 (藤の実6月)
 
 いつしかにさはやかさつきさりゆきて暗き厨にうどん煮てゐる
                                    
(甲麓庵7月)

             
   (注)藤の実湘南…潮音の歌會、 甲麓庵はHN伯爵さん主催の歌會 


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2008年10月28日

一折の鮨…

            e3_yonjou.jpg
  老ふたり半人前に生きてをり一折の鮨わけて食
(たう)ぶる

…といふ訳でお互い食も細つたなぁ。 と、嘆かひつつ食ふ。
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ラベル:老い
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