2008年11月24日

『潮音』08年11月掲載歌

    #もの狂ひびとの街

落つる陽に向ひて歩む人らみな金の縁取りつけて影引く

ゐさらひを見せて胸張り街歩むをのこありけり眼は光ゐし

年毎に見かけ綺麗になりし街もの狂ひ歩む人も失せにき

身ぎれいになりゆく街のさびしさはたとへば虫も食はざる造花

今日ひと日なづきに鳴れるコラールよまた寄せ返し来たるかなしみ

裸で歩くもの狂ひびとを子供の頃には時々みた。
見かけの世の中が小綺麗になつた現在では、
そんな人は見たくても見られない。

今にして思ふと、十字架に架けられたキリストが、
そのまま歩き出したやうな姿であつた。

子供の頃はそんな人が怖かつたものだが、
いまでは尊敬と憧憬の念でその姿を思ひだす。

 以下はボツになつた作だが、これはあまりにもママといふ気がする。
情景の異様さだけでできた作品で、歌としてはまだもの足りないところがある。

背も胸も黒く光りて笑みうかべキリストのごと立ちゐる男

次のものなんかは、結社の優雅な雰囲気には合はぬ情景なんだろうな。
でも、こんなのがボクの好きな歌なのだ。
人様は哂ふか、眉を顰めるかのどちらかと思ふが・・・


この間合ひで飛び込めばすぐいのちなど消へると思ひて見る線路敷


ラベル:潮音
posted by 素浪人Joe at 02:12| Comment(4) | TrackBack(0) | 日々に詠ふ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
Joeさん、お久しぶりです。
お体の調子はいかがですか?

>年毎に見かけ綺麗になりし街もの狂ひ歩む人も失せにき

ほんとにそうですね。
でもまた、ぱっと見ではわからない人も多くなっているのかも知れません。


>この間合ひで飛び込めばすぐいのちなど消へると思ひて見る線路敷

私も好きです、このお歌。


新型インフルエンザが猛威になりそうです。
ご自愛くださいね。
Posted by 佐山みはる at 2008年11月24日 22:22
佐山みはるさん 

わざわざ訪れてくださり、ありがたうございます。
こんな暗い歌がお目に留まりうれしいです。

もの狂ひのをとこの姿が自分の情念に照射されて、
気持ちが落ち込みがちになるのです。

で、何とか元気にならうと、
カメラと手帳を持つて、
歌詠み散歩に出かけてをります。

みはるさんのお歌、時々『短歌』で拝見してゐますよ。
12月号にも載つてましたね!
ご活躍を期待してをります。

Posted by Joe at 2008年11月27日 02:50
Joeさん

如何お過ごしですか・・・。
日に添えてお寂しさも深くなられることと
存じます。

デモゆっくりと充分に悲しんでくださいませ。
それが亡き人の供養になると存じます。

何時か時が・・あなたさまを癒してくれますように・・念じています。
Posted by トコおばさん at 2009年07月24日 21:07
ありがたうございます。

この書き込み気がつきませず、
失礼しませた。

これからもよろしくお願ひします。
Posted by Joe at 2009年11月23日 19:25
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