2011年11月12日

「潮音」2011年9月号出詠分

  
      # 手 術 


  身の底に穴のあきたる自覚
(おぼえ)ありてボコリと腸(わた)がとび出してくる

   
鼠径部にヘルニアが出たといふので入院した。ほんの軽いオペであつたが4日ばかり入院した。


  
  
廊下にも病院臭はただよひてナース足早に去りゆく音す

       ボクは殆ど入院といふ経験がないけど、入ってみて寝ていると、
   カミサンの看病で病室に付き添った日々のことを思ひ出すのであった。
   為すこともなく寝ているとナースが廊下を行く足音さへ妙に淋しく聞こえた。
 


  
  
DNAを持ちて別るる細胞をいのちとや言はむ 不可思議なこと


 
カーテンを隔つる患者の話すこと聴きとれぬまま午後をまどろむ


 海に落つる眞赭
(まそほ)
の陽影身に染みてやがてわが血も浄くなりゆく
 


 以下は掲載されなかつた作2首

     
起き伏しのかろき目まひをいぶかしむ こは回天のきざしならむか

   
眩暈なんて回天のきざしどころか、むしろ死に至る病のきざしではないかと思ふのだが…
 

  
 
  けふひとひ透らぬ窓の内にゐて乳白色(ちちいろ)の影を夢に見てをり

       



posted by 素浪人Joe at 02:02| Comment(4) | TrackBack(0) | 日々に詠ふ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年11月09日

「潮音」2011年8月号出詠分



    # ennui 
            DSCF6200.JPG
 

   
 
寝返りを打てばくるりと廻る部屋このコスモスにわれは生きをり

    
狭い部屋で寝ている。寝返りを打つと眩暈がする。ボクは三半規管がおかしいので、
     ときどき眩暈がする。場合によっては、寝返りをするだけでくるくる目が廻るのだ。

  

 うた屑の切れつ端だけ噛みつぶしごろ寝してをり気だるき晝を

    
歌が詠めない日はせめて5音や7音の歌の断片でも書いてみる。
     調子が悪いとろくな言葉も出てこない。
 

 青きまま萎びてゆける梅の実にそと指觸れぬ霧雨の庭
 

 坂上る乙女の右の肩に留まる小人
(こびと)よ今日はどこまで行くや

     
ボクが坂を下りて行くと坂の下から若い女性が上がってくる。
       ボクの目には、なんだか彼女の肩に愁ひのこびとが留まつているやうに見える。 

 わが背にも負ぶひてゐたる時ありき孤独と言ふ名の痩せたる小人
 

 
 
    
次の2首は掲載してもらえなかったもの。

 
  
虹靄(にじもや)の身にひろがれる六月の荒れたる庭にねぢ花は立つ
 
  磨り硝子の透ける向かふに佇つ影は背を向け去りしひとに似て憂し

posted by 素浪人Joe at 05:12| Comment(0) | TrackBack(0) | 日々に詠ふ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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