2010年12月12日

「潮音」2010年5月号掲載分




  # 花ある径



       またもやかなしい歌が並ぶ。

       年長の歌友は言つてくれる。
       「まうそろそろ妻恋歌から離れたほうがいいですよ」と。

       でも、さうは行かない。
       自然に歌となつて口をついて出てくるものは仕方がない。
       感傷過剰といへば、それはさうなんだらうが……


 酒たうべ浴ぶるごとたうべ汝が亡きを忘れむとして蒲団被れり
 
 こは夢
(いめ)と思ひて見てをり異国(とつくに)の花ある径をきみ歩み来る
 
 目覚めては泪ぬぐひぬ風の音がうがうと鳴る春の夜明けに
 
 よき夢の続きは見得ず豚となりて餌を食む夢の覚めず続けり
 
 為すべきこと多き日なれど臥所にてパソコンゲーム今朝もしてをり


以下は掲載されなかった作品
 

 あかときの窓よりもるる薄光
(はくくわう)を諸手(もろて)に受けてこすりてみたり
 
 生ぬるき東風
(こち)吹き荒れてわが庭の白木蓮(はくれん)すでに傷つきて落つ



posted by 素浪人Joe at 16:02| Comment(2) | TrackBack(0) | 日々に詠ふ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

「潮音」2010年4月号掲載分

       
  
  #楽の音あふる

   
    
      P1030152a.jpg




音楽を詠むのはちょっと難しい気がする。
読者に分からせようと説明的になつたりすると、
うたごころを失つてしまふ。
塚本邦雄なんかいつぱい音楽の歌を詠んでゐるが、
さすがにうまいものだなあと感心する。
お手本にしたいけど、立脚点が違うので参考にならない。


  白梅の満ち薫るごと小堂に楽の音あふる胸熱き午後を

  大人らの中に幼なも混じりゐて弓いっぱいに奏づるバッハ

  晴れやかにモーツアルトのパッセージ小さきホールを駆け戲れる

  チェロ二つ掛け合ひ鳴りて短調
(ミノーレ)のつづれ錦のごときバロック

  街灯のあたたかき黄にひたり行く何時まで続くこの残響は
      
(けやきホ−ルにて)

  
 以下二首は採り上げられなかったもの。 やはり説明的だったのかな、と思ふ。

 
 3
台のヴィオロンが紡ぐコンチェルトわが歌友(うたとも)の美音も冴えて

 会場を出づれど耳に残れるは厚き総奏
(トゥッティ)ブリテンの曲




 
posted by 素浪人Joe at 03:47| Comment(0) | TrackBack(0) | 日々に詠ふ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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