2009年11月23日

「潮音」09年8月掲載(その1)

               
               St.Moriitz.JPGSt.Moritzのテラスにて


 結社誌に長い間欠詠を続けてゐたので、先月(7月)に引き続き8月も2ヶ月分載せることを許された。
 
 8月号の前半が次の5首である。



  # 写し絵に…


 ひとり居も二十日を経たり写し絵に「ただいま」などと挨拶をして
 

 「おそいわね」空耳に声聞こえくる灯点せば妹の写真笑みをり

 
 骨壷に入りて吾妹はすましゐる さほどに壷は住みよきものか
 

 居る筈もなけれど亡妻
(つま)の瞳(め)を欲りてスーパーストアの売場さまよふ
 
 
 千の風にならずともよしひと吹きの桜ふぶきとなりて我に来
(こ)




posted by 素浪人Joe at 18:48| Comment(0) | TrackBack(0) | 日々に詠ふ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

「潮音」09年7月号掲載分



引き続き結社誌に記載された作品をUPします。
遅れ遅れの7月号です。 まだまだ、亡妻のことばかりでした

           watch.JPG
 
 
 #スガン氏の山羊


 秒針の右に周りて戻らぬを納得しつつ凝視
(みつ)むれば正午(ひる)
 

 弔ひの手順のことも言ひ残しまたひと足の段梯
(きだはし)降る
 

 来年は金婚式ぞと念押して約せしことを汝は忘れしや
 

 誕生日過ぎて死なむと予言せる妻の強さに返す言なし


 「おひっこがひたい…」と訴へ伸ぶる手を握れども眼は宙にさ迷ふ
 

 「おひっこ…」と呟く声も弱りゆくおろおろと掌
(て)をとるほかはなし
 

 あかときの淡く明るむ光見ずかぼそき呼吸
(いき)は止まらむとする
 

 脈とぎれ打ちては途切れひと夜さをスガンの山羊のごと闘ひぬ
 

 くちびるに冷たさのみが伝はりぬエンゼルメイクの頬に触るれば


posted by 素浪人Joe at 03:28| Comment(0) | TrackBack(0) | 日々に詠ふ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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