8月号に載つた後半の5首。
# 詠み続けよと…
たまきはる命消えゆくあかときを新聞配達の音聞こえ来る
意識薄れよ深き眠りの来たれかし現(うつつ)には思ふ人の亡(な)ければ
妻亡せし孤りの老を励まされ詠み続けよと師は微笑みぬ
妻の匂ひはつかに残るスェーターを着むとすれども丈が合はざり
これの世に妻の名前は消えたれどダイレクトメール今日も届けり
土讃線仁淀川鉄橋より仁淀川橋をのぞむ
年が明けないうちにUPして置かう。
今年の「潮音」新年号に出した20首詠だ。
準入選に14首選んでいただいた。
★南国望郷
久しくも見ざるものかな土佐の海の沖黯々(くろぐろ)と流るる潮(うしお)
おほうみの耀き眩し瞬きを三度四度五度六度わがせり ※
われを迎ふそのさり気なき表情もうれしきかなや おほきわだつみ
『建依別(たけよりわけ) 』汝は剛毅なる国にして前なる池に鯨飼ふとや
胸張りて龍馬が歩みゆくごとし土佐灘めざす仁淀大河は
帰るべき家すでに失せ無けれども白き仁淀の橋は吾を待つ
少年の日々過したるわが家は跡形もなしコンビニ建てり ※
黴臭き蔵の二階の薄明に啄木読みし遠き憶ひ出 ※
褌(たふさぎ)の白きを締めて魚を獲る少年の胸まだ薄かりき
ふるさとの川の深みにひそみ住むうなぎの肌のぬめる冷たさ
紅簾石(こうれんせき)ただあかあかと川底にあれば密かに燃えしむるべし
淵に潜る龍の子なりと自負すれど陽焼けし肌は鮴(ごり)の子に似る
藤村の詩に始まりし少年のうれひ並みゐる図書館の書架
ひと夏をヘッセにひたり過したる図書館に今もあぶらぜみ鳴く
わが顔を塗り潰したる一葉の写真出できぬセピアに褪せて ※
六十年の昔をきみは憶ゆるやはた忘るるやいづれともよし ※
胸ぬちにひそみて紅き埋火が未だ消えぬよと友に告ぐる日 ※
切々とカンツォーネ歌ふ老友の遠き記憶に響む潮鳴り ※
いごつその土佐つぽなりし父の夢何なりしやと思ふこの頃
往にし日々かくも眩しきものならば往復切符購(か)へばよかりし
新年号を病床のカミサンに見せたら「良かったね!」と一言つてくれた。嬉しかった…
※の作品は選ばれなかったもの。
でも、そのなかにも作者としては愛着のあるものがあるので、全部載せる。
一言でも感想を述べて下されば嬉しいです。
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