2009年11月24日

「潮音」09年8月掲載(その2)


suifuyo.jpg
 

    8月号に載つた後半の5首。



   # 詠み続けよと…


 たまきはる命消えゆくあかときを新聞配達の音聞こえ来る
 

 意識薄れよ深き眠りの来たれかし現
(うつつ)には思ふ人の亡(な)ければ


 妻亡せし孤りの老を励まされ詠み続けよと師は微笑みぬ

 
 妻の匂ひはつかに残るスェーターを着むとすれども丈が合はざり


 これの世に妻の名前は消えたれどダイレクトメール今日も届けり



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2009年11月23日

「潮音」09年8月掲載(その1)

               
               St.Moriitz.JPGSt.Moritzのテラスにて


 結社誌に長い間欠詠を続けてゐたので、先月(7月)に引き続き8月も2ヶ月分載せることを許された。
 
 8月号の前半が次の5首である。



  # 写し絵に…


 ひとり居も二十日を経たり写し絵に「ただいま」などと挨拶をして
 

 「おそいわね」空耳に声聞こえくる灯点せば妹の写真笑みをり

 
 骨壷に入りて吾妹はすましゐる さほどに壷は住みよきものか
 

 居る筈もなけれど亡妻
(つま)の瞳(め)を欲りてスーパーストアの売場さまよふ
 
 
 千の風にならずともよしひと吹きの桜ふぶきとなりて我に来
(こ)


posted by 素浪人Joe at 18:48| Comment(0) | TrackBack(0) | 日々に詠ふ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

「潮音」09年7月号掲載分



引き続き結社誌に記載された作品をUPします。
遅れ遅れの7月号です。 まだまだ、亡妻のことばかりでした

           watch.JPG
 
 
 #スガン氏の山羊


 秒針の右に周りて戻らぬを納得しつつ凝視
(みつ)むれば正午(ひる)
 

 弔ひの手順のことも言ひ残しまたひと足の段梯
(きだはし)降る
 

 来年は金婚式ぞと念押して約せしことを汝は忘れしや
 

 誕生日過ぎて死なむと予言せる妻の強さに返す言なし


 「おひっこがひたい…」と訴へ伸ぶる手を握れども眼は宙にさ迷ふ
 

 「おひっこ…」と呟く声も弱りゆくおろおろと掌
(て)をとるほかはなし
 

 あかときの淡く明るむ光見ずかぼそき呼吸
(いき)は止まらむとする
 

 脈とぎれ打ちては途切れひと夜さをスガンの山羊のごと闘ひぬ
 

 くちびるに冷たさのみが伝はりぬエンゼルメイクの頬に触るれば


posted by 素浪人Joe at 03:28| Comment(0) | TrackBack(0) | 日々に詠ふ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年11月17日

「潮音」新春20首詠2009年新年号掲載


             niyodogawa.JPG   土讃線仁淀川鉄橋より仁淀川橋をのぞむ

 年が明けないうちにUPして置かう。

 今年の「潮音」新年号に出した20首詠だ。
 準入選に14首選んでいただいた。


 ★南国望郷

久しくも見ざるものかな土佐の海の沖黯々(くろぐろ)と流るる潮(うしお)


おほうみの耀き眩し瞬きを三度四度五度六度わがせり ※


われを迎ふそのさり気なき表情もうれしきかなや おほきわだつみ


『建依別(たけよりわけ) 』汝は剛毅なる国にして前なる池に鯨飼ふとや


胸張りて龍馬が歩みゆくごとし土佐灘めざす仁淀大河は


帰るべき家すでに失せ無けれども白き仁淀の橋は吾を待つ


少年の日々過したるわが家は跡形もなしコンビニ建てり ※


黴臭き蔵の二階の薄明に啄木読みし遠き憶ひ出 ※


(たふさぎ)の白きを締めて魚を獲る少年の胸まだ薄かりき


ふるさとの川の深みにひそみ住むうなぎの肌のぬめる冷たさ


紅簾石(こうれんせき)ただあかあかと川底にあれば密かに燃えしむるべし


淵に潜る龍の子なりと自負すれど陽焼けし肌は鮴(ごり)の子に似る


藤村の詩に始まりし少年のうれひ並みゐる図書館の書架


ひと夏をヘッセにひたり過したる図書館に今もあぶらぜみ鳴く


わが顔を塗り潰したる一葉の写真出できぬセピアに褪せて ※


六十年の昔をきみは憶ゆるやはた忘るるやいづれともよし ※


胸ぬちにひそみて紅き埋火が未だ消えぬよと友に告ぐる日 ※


切々とカンツォーネ歌ふ老友の遠き記憶に響む潮鳴り ※


いごつその土佐つぽなりし父の夢何なりしやと思ふこの頃


往にし日々かくも眩しきものならば往復切符購(か)へばよかりし


   新年号を病床のカミサンに見せたら「良かったね!」と一言つてくれた。嬉しかった…
  

 ※の作品は選ばれなかったもの。
 でも、そのなかにも作者としては愛着のあるものがあるので、全部載せる。
 
 一言でも感想を述べて下されば嬉しいです。

posted by 素浪人Joe at 01:00| Comment(2) | TrackBack(0) | 日々に詠ふ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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