落つる陽に向ひて歩む人らみな金の縁取りつけて影引く
ゐさらひを見せて胸張り街歩むをのこありけり眼は光ゐし
年毎に見かけ綺麗になりし街もの狂ひ歩む人も失せにき
身ぎれいになりゆく街のさびしさはたとへば虫も食はざる造花
今日ひと日なづきに鳴れるコラールよまた寄せ返し来たるかなしみ
裸で歩くもの狂ひびとを子供の頃には時々みた。
見かけの世の中が小綺麗になつた現在では、
そんな人は見たくても見られない。
今にして思ふと、十字架に架けられたキリストが、
そのまま歩き出したやうな姿であつた。
子供の頃はそんな人が怖かつたものだが、
いまでは尊敬と憧憬の念でその姿を思ひだす。
以下はボツになつた作だが、これはあまりにもママといふ気がする。続きを読む
ラベル:潮音